2006年04月28日

三隅研次監督『斬る』『剣』『剣鬼』

知人に三隅研次監督『剣鬼』を勧めていただいたので観ようと思ったら、これは三隅研次監督が放つ「剣三部作」の第3作目だと分かり、どうせなら第1作目から観ようと思って、『斬る』→『剣』→『剣鬼』の順に観た。全て市川雷蔵主演。

全作、主人公が最後に死んでしまう(『剣鬼』だけは少しあやしいが)。ちょっと新鮮な感じがした。第1作の『斬る』は、展開が速く、少々驚いてしまった。第2作の『剣』だけは江戸時代のお話ではなく、戦後間もない頃(?)の大学剣道部が描かれている。個人的にはこれが一番面白かった。第3作の『剣鬼』は、痛快。あり得ないくらい足の速い男が、居合いで敵を斬っていく。この殺陣が一番の見所だった。ちょっと居合いをやりたくなってきた。
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2006年04月10日

オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督『es[エス]』

スタンフォード監獄実験(Stanford prison experiment)を元にした映画。これは、新聞広告などで集められた被験者が、看守役と囚人役に別れて、模擬監獄の中で一定期間過ごした時の、それぞれの行動を観察する実験である。当初はお遊び半分だったのが、徐々に看守役は看守らしく、囚人役は囚人らしく振る舞うようになる。

映画では、看守役の横暴さがエスカレートして、死者まで出てしまう展開になっている。非常にスリリングな展開で、なかなか面白かった。実際の実験でも、精神的におかしくなる被験者が出たらしい。倫理的な問題にもなっており、現在はこのような実験は行われていないはずだ。

それにしても、認識論的にも面白い実験だ。人間の認識は、対象の反映であるから、人間が生活している環境によって創られるといってもよい。監獄で、看守の制服を着て、看守として囚人を制圧する役割を与えられれば、その環境なり状況なりによって認識が創られ、その認識に基づいて行動するようになるのである。三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』的にいうならば、被験者が看守の制服を着て看守としての仕事をすることによって、わずかながらも現実に看守としての性格が浸透してくると、物質的な条件に媒介されてその意識もまた看守的になっていく、ということであろう。

ニューヨーク市長だったジュリアー二が採用した割れ窓理論を彷彿とさせると思って調べてみると、このスタンフォード監獄実験を指導した心理学者ジンバルドと割れ窓理論はつながっているようだ。つまり、ジンバルドの没個性化の理論を元にして、犯罪学者ジョージ・ケリングが割れ窓理論をつくったということらしい。

心理学関係の映画としては、他にミロシュ・フォアマン監督『カッコーの巣の上で』と、ジェームズ・マンゴールド監督『17歳のカルテ』を最近観た。前者は、「ロボトミー手術の悲惨さを世間に告発した」(竹内薫『99.9%は仮説』光文社新書、p.101。IZAYOHIさん、ごめんなさい。お薦めしていただいたこの本、どのあたりが面白いのか、よく分かりませんでした)映画である。後者は、60年代末のアメリカ精神病院の様子が描かれている。どちらかというと、後者の方が面白かった。
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2006年04月07日

黒澤明監督『生きる』

最近はけっこう映画を観ている。先日、黒澤明監督『生きる』を観た。市役所の課長が主人公の映画である。Yahoo!ムービー等では、次のように紹介されている。市役所なんかで働く役人には、是非観てもらいたい映画だ。

癌で余命幾ばくもないと知った初老の男性が、これまでの無意味な人生を悔い、最後に市民のための小公園を建設しようと奔走する姿を描いた黒澤明監督によるヒューマンドラマの傑作。市役所の市民課長・渡辺勘治は30年間無欠勤のまじめな男。ある日、渡辺は自分が胃癌であることを知る。命が残り少ないと悟ったとき、渡辺はこれまでの事なかれ主義的生き方に疑問を抱く。そして、初めて真剣に申請書類に目を通す。そこで彼の目に留まったのが市民から出されていた下水溜まりの埋め立てと小公園建設に関する陳情書だった……。


親と子の対立、助役と市職員の対立等も、リアリティーがあってなかなか面白い。1952年の作成だが、当時の娯楽なんかも描かれていて興味深い。

黒澤明の作品は、これまで3〜4本くらいしか見ていない。爆笑問題の太田もかなり絶賛していたように思うので、これからちょっと観てみようと思う。
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2005年06月01日

スティーヴン・ヘレク監督『三銃士』

アレグサンドル・デュマ『三銃士』が原作の映画。17世紀フランスの雰囲気が充分に味わえる。やはり世界史を学ぶ際に、映画は重要な教材になると思った。

この『三銃士』でいえば、近衛銃士隊の活躍、決闘の存在、王宮での王と王妃の生活、監獄の様子、当時の生活習慣などが生き生きと描かれており、単に教科書を読んだだけでは決して得られない鮮明なイメージが得られる(もちろん、全てが史実通りに描かれているわけではないだろうが)。

正義感にあふれ、国王に忠誠を尽くすダルタニヤンの他に、アトス、アラミス、ポルトスの三銃士もそれぞれ個性的で、いい味を出している。小説ではもっと細かなエピソードなどが書かれいているのだろうから、また読んでみたいと思う。

なお原作は、ダルタニヤンを主人公とする歴史小説三部作の一つ目。二つ目が『20年後』、三つ目が『ブラジュロンヌ子爵』(これは『弁証法はどういう科学か』に引用されている)である。ダルタニヤンは実在の人物で、フランス国王ルイ14世に仕え、マザラン宰相に信頼された優秀な武人。有名なフロンドの乱にも活躍した。デュマはクルティス・ド・サンドラの『国王の銃士隊副隊長ダルタニャン氏の回想録』を元にして小説を書き上げた。
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