2008年02月09日

大学生に推薦する書

塾で指導している高校三年生から要望があったので、私が大学生に勧める書のリストを作った。ここに紹介しておこう。

【1】学問全般
大学は最高学府であるからして、大学生はすべからく学問に取り組むべし。

1.三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)
 頭のよくなりたい学生は必読。私の座右の書。
2.河合栄治郎『学生に与う』(現代教養文庫)
 あるべき学生生活を描く魂の書。
河合栄治郎の情熱が伝わってくる。
 絶版だが、
 http://www.ebookjapan.jp/shop/book.asp?sku=60007347
 で電子版が買える。
3.出隆『哲学以前』(講談社学術文庫)
 学中の学たる哲学の入門書。難解。
 戦前の学生が熱狂的に読んだ。
4.湯浅俊夫『合格小論文の書き方』(旺文社)
 大学入試用の参考書だが、
 大学でレポートや卒論を書くときにも十分使える。
 参考文献にも、是非読んでほしい本が紹介されている。
5.中学校の理科・社会の教科書
 自然科学・社会科学の基礎として。
 非常に論理的に説かれている。


【2】歴史
人類は歴史的に発展してきた存在である。
人類の壮大な歴史を学んでこそ現在が理解でき、
歴史性を把持することができる。

1.本田克也他『看護のための「いのちの歴史」の物語』(現代社)
 単細胞から人間にいたる「いのち」の変化・発展の流れ。
 あらゆるの歴史の基本として。
2.H・G・ウェルズ『世界史概観 上・下』(岩波新書)
 細かい知識にとらわれず、壮大な歴史の流れを描く。
 ウェルズ一人でまとめている点がよい。
3.林健太郎『歴史の流れ』(新潮文庫)
 絶版だが名著。西洋史の解説。
 古本屋で探すように。
4.林健太郎『世界の歩み』(岩波新書)
 これも絶版。『歴史の流れ』の続編的存在。
5.井沢元彦『逆説の日本史』シリーズ(小学館)
 歴史の裏側を面白く説いてくれている。
6.シュテーリヒ『西洋科学史T〜X』(現代教養文庫)
 科学史を学ぶのに最適の書。残念ながら絶版。


【3】小説
見事な人生やリアルな社会については小説で学べる。

1.ラファエル・サバチニ『スカラムーシュ』(創元推理文庫)
 弁護士になり損なったアンドレ・ルイ・モローの見事な生き様。
2.アンソニー・ホープ『ゼンダ城の虜』(創元推理文庫)
 『ルパン三世 カリオストロの城』の原作的小説。
3.クローニン『城砦』(三笠書房)
 絶版。情熱が青年医師を駆り立てる。
4.菊池寛『藤十郎の恋・恩讐の彼方に』(新潮文庫)
 「恩讐の彼方に」を読もう。
5.モンゴメリ『赤毛のアン』(新潮文庫)
 講談社からは「赤毛のアン」シリーズ全8巻が出ている。
 最終の第8巻が個人的には一番の傑作だと思う。
6.大沢在昌『心では重すぎる 上・下』(文春文庫)
 近頃の病んでいる青少年の心を描く。
7.松本清張・高木彬光・森村誠一の社会派推理小説
 社会の心を学ぶ。
8.内田康夫の旅情ミステリー
 名探偵・浅見光彦が活躍。
 観念的に日本の各地を旅行できる。
9.夏目漱石の小説
 人の心を学ぶ。
10.ポオ『黒猫・モルグ街の殺人事件』(岩波文庫)
 この中の『モルグ街の殺人事件』と『盗まれた手紙』は
 弁証法文学の傑作。
11.アガサ・クリスティの探偵小説
 特に、名探偵ミス・マープルものがお勧め。
12.ジョセフィン・テイ『時の娘』(ハヤカワ文庫)
 歴史ミステリかつベット・ディテクティブ。
 先に高木彬光『邪馬台国の秘密』(光文社文庫)を読もう。
13.その他、岩波文庫に入っている代表的な小説


【4】私の尊敬する理論家・実践家
ほぼ全著作を読んでいる私の師的存在。

1.三浦つとむ(みうら・つとむ)
 世界に冠たる弁証法学者。
 学歴と頭のよさは全く関係がないということがよく分かる。
2.南郷継正(なんごう・つぐまさ)
 私の最も尊敬する偉大なる哲学者。
 三浦つとむに学んだからこその実力らしい。
3.薄井坦子(うすい・ひろこ)
 宮崎県立看護大学学長。
 日本が生み出した偉大なる看護学者。
4.瀬江千史(せごう・ちふみ)
 科学的医学体系の創出を目指す医学者。
 その著作は超論理的で、非常に読みやすく、超お勧め。
5.原田隆史(はらだ・たかし)
 元中学のカリスマ体育教師。
 私はこの人の方法論で、大学院合格とダイエットに成功した。


【5】その他
1.マーク・ピーターセン『日本人の英語』(岩波新書)
 ロングセラーだけのことはある。英語に興味がある人へ。
2.美内すずえ『ガラスの仮面』(白泉社)
 面白い少女漫画。認識論の教材でもある。
3.シュリーマン『古代への情熱』(岩波文庫他)
 トロヤ遺跡発見の物語。情熱が偉業を可能ならしめる。
4.シング『狼に育てられた子』(福村出版)
 人間は人間として育てられて初めて人間となれる。
5.李登輝『「武士道」解題』(小学館文庫)
 前台湾総統・李登輝による新渡戸稲造『武士道』の解説本。
 旧制高校の知的雰囲気が味わえる。
6.森信三『修身教授録』(到知出版社)
 戦前教育の貴重な遺産。
7.齋藤孝『読書力』(岩波新書)
 この人はいろいろと優れた本を紹介してくれる。
8.下條信輔『サブリミナル・マインド』(中公新書)
 魅力的な心理学入門講義。
9.『綜合看護』(現代社)
10.『学城』(現代社)
 2冊とも、南郷継正先生の連載論文が読める雑誌。
posted by 寄筆一元 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「人間は歴史性を把持している」ではなくて、「人間は歴史性を把持しなければならない」ではありませんか? 
歴史性は自然成長的にそなわるものではないと思います。
歴史性とは南郷先生の造語です。
Posted by 流蛍 at 2008年02月13日 20:19
流蛍さん、コメントありがとうございます。

「人間は」というと、ちょっとおかしいかもしれませんね。「人類は今まで変化発展してきた」ということをいいたかったわけです。

個々の人間に関していえば、まさしくおっしゃるとおりです。
Posted by 寄筆一元 at 2008年02月13日 23:48
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