2007年09月23日

臨床心理士指定大学院合格のための参考書

最近までしばらく、二つのブログの更新をストップしていたが、その間一体何をやっていたのかというと、大学院入試に向けての勉強に専念していたのである。

僕は将来、臨床心理士として、心の問題を抱える人々を援助することを通して、認識とは何かの謎に迫っていきたいと考えている。あるいは、既に構築されている認識論の再措定を試み、その上に何らかのオリジナルなものを積み上げていきたいと考えている。これを実現するためには、まず、臨床心理士にならなければならない。臨床心理士の資格を獲得するためには、臨床心理士の資格試験に合格しなければならず、その資格試験を受けるためには、指定大学院を修了していなければならないのである。そこでまずは、指定大学院の入学に向けて、入試を突破するために勉強していたわけである。

先日、大学院入学試験が行われ、無事合格することができた。合格できたから正直に告白するが、真剣に院試勉強をした期間は、わずか3〜4ヶ月である。しかも、仕事をしながら、である。さらにいうと、僕は心理学科出身ではないので、心理学の知識は、ごく少数の一般向けの新書と教科書をざっと通読した程度で、ほとんど皆無に近かった。一例を挙げれば、今年の4月の末の時点で、「エンカウンターグループ」といわれても、「何か聞いたことがあるような、ないような、何だったっけ?」というようなレベルだったのである。一応その場では、知ったかぶりをしておいたが(念のために述べておくと、僕は意図的に知ったかぶりをすることがある。知ったかぶりは上達論の一つの要であると思っている。詳細は後ほど)。

そんな心理学の知識ゼロから3〜4ヶ月で、それなりに難易度もあり倍率も高いとされる臨床心理士の指定大学院に合格できたのである。イヤ、何も、「俺は頭がいいだろう。はっはっは。やってやったぜ!」などという、受験秀才丸出しの自慢がしたいわけではない。そもそも、僕は自分自身のことを受験秀才だとは思っていないし、大学に入ってからは、極端にいうと、新しい知識の吸収をやめてしまって、ひたすら、弁証法・認識論の勉強に関わる範囲内の知識(中学教科書レベルなど)しか、扱ってこなかったといっていい。鈍才になるための努力とでもいおうか。

それはともかく、次回は、大学院入試の勉強を通してある程度実感できた、「短期間で特定の分野の知識を吸収する方法」を公開したいと思う。受験秀才には無用のテクニックである。鈍才の皆さんは、乞うご期待、である。

今回は、院試勉強で使った教科書・参考書などを、主なものに絞って紹介しておきたい。


<基本書>

@馬場禮子『改訂版 臨床心理学概説』(放送大学)



放送大学の教科書。
コンパクトで、臨床心理学の全体像がしっかりつかめる。


<問題集>

A山口陽弘・高橋美保『試験にでる心理学 臨床心理学編』(北大路書房)



公務員心理職向けの問題集。
非常に優れており、「ブックリスト」も参考になる。


B『臨床心理士指定大学院攻略〔専門科目編〕』(東京図書)



その名の通りの問題集。
誤答が多すぎるため、ある程度の力がついてからでないと危険。


<用語集・事典類>

C坂野雄二『臨床心理学キーワード』(有斐閣)



コンパクトだが情報量が多い。
知識の総チェックに使える。


D『臨床心理学と心理学を学ぶ人のための心理学基礎事典』(至文堂)



タイトルが非論理的だが、
内容は分かりやすく、非常に明快。


E『心理学辞典』(有斐閣)
F『心理学事典』(平凡社)



心理学を学ぶ際の基本の辞事典。
EのCD-ROM版が便利。


G『心理臨床大事典』(培風館)



いうまでもなく大学院生は必読・必携の事典。
やはり、この事典がないとカバーできない範囲がある。


<一般心理学参考書>

H鹿取廣人・杉本敏夫『心理学』(東京大学出版会)



古典的教科書の改訂版。
心理学の全体が、要領よくまとまっている。


I無藤隆ほか『心理学』(有斐閣)



比較的新しい心理学の教科書。
詳細でハイレベルだが、発達心理の部分は分かりにくい。


<研究法参考書>

J南風原朝和ほか『心理学研究法入門』(東京大学出版会)



心理学一般の研究法について。
よくまとまっていると思う。


K下山晴彦『臨床心理学研究の技法』(福村出版)



臨床心理学によく使われる研究法について。
研究計画書を書く上で、非常に役立った。


<その他>
Lかしまえりこ・神田橋條治『スクールカウンセリングモデル100例』(創元社)



スクールカウンセリングの事例が100紹介されている。
擬似的にカウンセリングを体験できる。


M丹野義彦『エビデンス臨床心理学』(日本評論社)



異常心理学の教科書。
やや高度な内容だが、非常に分かりやすい。


N倉光修『臨床心理学』(岩波書店)
O下山晴彦『よくわかる臨床心理学』(ミネルヴァ書房)



臨床心理学の教科書。
基本書を補完するために使った。


P下條信輔『サブリミナル・マインド』(中公新書)



東大教養学部での講義をまとめた内容。
認知社会心理学までをおさえており、非常に興味深い。


Q岡田尊司『子どもの「心の病」を知る』(PHP新書)



新書なのに情報量が多い精神医学入門。
索引も充実しており使いやすい。。


R久能徹・松本桂樹『図解雑学心理学入門』(ナツメ社)
S松原達哉『図解雑学臨床心理学』(ナツメ社)



解説と図解のセットで、メジャーなトピックを扱った本。
バカにできない内容で、はじめの一冊にお勧め。
posted by 寄筆一元 at 00:00| Comment(4) | TrackBack(5) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
大学院合格、おめでとうございます。

寄筆さんのブログを見るまで臨床心理士などという資格が存在することさえ知りませんでしたが、さらりと書いてらっしゃる「心の問題を抱える人々を援助することを通して、認識とは何かの謎に迫っていきたいと考えている」との文言に言外の深みを感じる次第です。

門外漢の勘ぐりに過ぎませんが、数多ある「心の問題を抱える人々を援助する」資格の中でも臨床心理士を選択された所に、指定大学院を出ていなければ取得できないという臨床心理士の学問的な深さと、その資格を所持しているところから規定されてくる所の就職先に「認識とは何かの謎」を濃厚に追及して行く将来的な未来像を見定めているように思われてなりません。

輝かしき未来が拓かれんことを期待しております。
Posted by ガネシャ at 2007年09月24日 11:45
ガネシャさん、コメントありがとうございます。

私が臨床心理士を選択したのは、国家資格にはなっていないものの、それなりに認知されていることもあって、一番思い通りの活動ができる可能性があると思ったからです。また、将来大学で研究しようとすれば、修士くらいは出ていないとダメだという事情もありました。

私も、ようやく専門家としての第一歩が踏み出せた、あるいは専門家になるためのスタート地点に立てた、という思いで、非常にワクワクしています。

まずは大学院をトップの成績(?)で修了することを目標にやっていくつもりです。
Posted by 寄筆一元 at 2007年09月24日 12:58
受験のためとはいえ、ずいぶん参考書を読まれたのですね。これはちょっと……ですが、まあ院試に合格しなければならないのですから、しょうがないでしょうね。
あとはこれらの本の著者を院生1年以内に追い越し、全部を10年後にはクズカゴに叩き込んでください。
Posted by 流蛍 at 2007年09月25日 21:56
流蛍さん、激励をありがとうございます。

臨床心理学の分野(というか大半の学問分野)は、看護学とは違って、見事に体系化なんてされていませんから、ある程度の「大系」を学ばないと、試験には合格できないようです。臨床心理士の資格試験なんて、院試よりも遙かに大量の知識量が要求されますが、自分なりに整理しながら学んでいこうと思っています。

本来なら『科学的看護論』くらいのコンパクトさの著作で、しっかりと専門的に・論理的に・考えられる頭を創れば、それで資格試験も合格、というのが理想的なんでしょうけれど。。。

40歳で初の著作、50歳で『科学的看護論』に匹敵するレベルの認識論の体系化、を目指して、研鑽を積んでいくつもりです。

Posted by 寄筆一元 at 2007年09月25日 23:32
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