1.滝村隆一『唯物史観と国家理論』(三一書房)
滝村隆一氏の昔の著作は手に入りにくいものがいくつかあるが、これは極めつけ。『国家論大綱』が出るまでは、滝村国家論の中心的著作として位置付けられていたように思う。因みに、おそらく日本で一番多く滝村氏の著作を所持しているのは僕だと思う。
2.シュテーリヒ『西洋科学史T〜X』(現代教養文庫)
シュテーリヒ『西洋科学史 上・中・下巻』(商工出版社)
医学者・瀬江千史氏が、「科学史を知るうえで必読の書」(『医学の復権』p.137)、「大学の『一般教養』としての科学の歴史を――自然科学も社会科学も含めて――概観するには、シュテーリヒの『西洋科学史T〜X』(菅井準一他訳、現代教養文庫)に優る書はありません」(『看護学と医学(下巻)』p.222)と絶賛する本。しかし、「必読」であるにもかかわらず本当に入手困難。学生時代、出版元の社会思想社に電話して、再版の予定はないのかと聞いたが、ないという返事だった。それからしばらくして、社会思想社自体がつぶれてしまって、同じく現代教養文庫の河合栄治郎『学生に与う』すらが、入手困難になってしまった(もっとも、こちらは万能書店でオンデマンド版、eBookJapanで電子版が購入できるが)。商工出版社版は、現代教養文庫版の元になったもの。これは京大近くの古本屋で、25000円くらいで売っていた。あまりにも高くて購入しなかったが、ネット上の古本屋で、もう少し安値で発見。即購入した。こんなことを言うと反感を買いそうだが、おそらく日本で一番多く『西洋科学史』を所持しているのも僕だと思う。
3.アイザック・アシモフ『化学の歴史』(河出書房新社)
今回紹介する本の中で、一番最近に発見・購入した本。まだ読んでいない。高校レベルの化学を復習したらすぐ読むつもりである。訳者のあとがきに本書の目的が書かれている。
「高等学校や大学の初年級では、化学の授業において、すでにでき上がった概念や知識について学ばねばならぬことが多い。しかし、科学教育の一般的目標としては、むしろそのような概念や知識が形成されるにいたった過程を理解することが望まれるのであるから、この点については、教師も学生も充分に注意し、努力しなければならない。その一つの手段としては、学生が教科書やノートで学習することと併行して、適当な副読本を読むということが奨励される。本書は、アメリカにおいて、まさにそのような目的にそうための一連の科学書の一つとして選ばれたものであった。」
4.中岡孝『社会科学読本 自然・人間・社会』(牧書房)
南郷継正氏が『武道講義第四巻 武道と弁証法の理論』(三一書房)の中で、三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』(講談社現代新書)と併せて弁証法の教科書であるとして推薦されている本。『武道と弁証法の理論』の中で南郷氏の弟子である近藤成美氏は、『自然・人間・社会』の意義を次のように説いている。すなわち、『弁証法はどういう科学か』には、「世界の一般的な変化・発展・運動の有様」という「肝心の部分がそっくり省略されてしまっている」ので、「我々としてはやむを得ず『自然・人間・社会』で学ばねばならない」、本書を読めば「弁証法とは単なる発想法や方法論ではなく、世界観レベルで把持すべきものである」ということが感じられるから、この二著の併読が必須である、と。しかし、これまた「必須」であるにもかかわらず、非常に手に入りにくい。出版年が昭和22年なので、入手しても紙がボロボロ。よほど慎重に読まなければならない。それでもスケールの大きさには感動する。社会科学読本といいながら、社会を説くにして宇宙から説き起こしているのであるから。
5.ポレヴォーイ『真実の人間の物語 上・下』(青銅選書)
主人公たるアレクセイ・メレーセェフは、「実在の人物であり、第二次世界大戦中、空中戦で墜落して両足を切断した後に、必死の努力で義足を訓練し、再び戦闘機を駆って独機を撃墜した本物の勇者」(南郷継正『武道修行の道』三一新書、p.13)である。そんな勇者の見事な生き様を描いた物語。昔、共産党の学習文献であったらしいが、その割にはあまり見かけない。
6.三浦つとむ『弁証法をどう応用するか』(青春新書)
7.三浦つとむ『共産党 この事実をどう見るか』(青春新書)
三浦つとむ氏の青春出版の著作は、なかなか手に入らない。僕はこの二冊しかもっていない。『マルクス主義の基礎』や『こう考えるのが正しい』は、『三浦つとむ選集』に入っているのでいいとしても、『社会とはどういうものか』は『選集』に入っていないだけに、非常に欲しい著作だ。どなたか譲ってください。
8.ディーツゲン『人間の頭脳活動の本質』(未来社)
三浦つとむの師たるディーツゲンの代表的著作。同じ著作の岩波文庫版は、1990年代に重版されたこともあり、そこそこ手にはいる。ディーツゲンの著作は他に改造文庫からも出ている。『弁証法的唯物観』『哲学の実果』『マルキシズム認識論』の三つである。改造文庫は著作権が切れないようにするためか、昭和52年に復刻版が出ており、ディーツゲンの著作も独特の布製装幀でわりと簡単に入手できる(ディーツゲンの著作が入手できずに困っているディーツゲンファンにアドバイスしておきたいことがある。それは、改造文庫版では著者名が「デイツゲン」となっているため、「デイツゲン」あるいは「ディツゲン」で検索しないと引っかからない場合もあるということだ)。というわけで、ディーツゲンの著作でもっとも入手しにくいのは、未来社版の『人間の頭脳活動の本質』なのである。なお、僕はディーツゲンのおそらく全ての著作のドイツ語原文を持っている。
9.南郷継正『南郷継正 武道哲学著作・講義全集(2)』(現代社)
2003年末に出版されて、すぐさま品切れになってしまった。2500部限定なので、かなり入手困難なはず。ただ、長期的には様々な形で出版されるのではないだろうか、などと予想している。元となった『弁証法・認識論への道』は、僕の人生を大きく変えた著作。この著作に出会っていなければ、僕の人生はつまらないものになっていたに違いない。
2.僕は商工出版社版の『西洋科学史』は神田の明倫館で三冊5千円で買いました。現代教養文庫版は早稲田で一冊千円で揃えました。ちなみに瀬江千史の『医学の復権』の巻末の一般教養を養う著書はほとんど揃えてあります。
3.『化学の歴史』も勿論、持ってます。
4.『自然・人間・社会』は本当に羨ましい。国会図書館でコピーしたものが手元にあるだけです。
5.『真実の人間の物語』も神田の古書店で見つけて持ってます。
6.『共産党 この事実をどう見るか』と『社会とはどういうものか』は持ってます。でも譲りません。『弁証法をどう応用するか』は国会図書館で一度読んだだけですけど、それで十分。入手したい本ではないです。
8.ディーツゲンは岩波文庫も改造文庫も未来社のも持ってます。ドイツの全集も持ってます。
こうして見てくると、南郷学派のファンならば、あなた程度の蔵書はザラに持っているのでは?(失敬)
所有している滝村氏の本は26冊です。これで「日本一」とは、調子に乗りすぎました。ご指摘のとおり、南郷学派のファンとか信者とかなら、これくらい持っている人がいてもおかしくないですね。
それにあの記事に対しては、「たくさん持っているだけでは何の意味もない!!」ととあるオジサンから叱られたというか、諭されまして。まさしくその通りで。がんばって血肉化していきたいと思っています。
ところで、マルリンさんに2つほどお伺いしたいことがあるのですが、ディーツゲン全集はどのようにして入手されましたか? ひょっとして、古本以外でも、手にはいるのでしょうか?
あと『医学の復権』の巻末の一般教養を養う著書なのですが、南郷師範が『弁証法・認識論への道』で挙げられているもの以外で、何かこれは特にお勧め、というものがあるでしょうか? 『学生に与う』や『哲学以前』すらが絶版になってしまったので、手に入るものは手に入るうちに入手しておきたいですし、一般教養の学びを強化しようとも思っているので、あれば紹介してください。
ディーツゲンの全集は神田の洋書専門の古本屋(ブックマートの近くの所です。名前は失念しました)でドイツの古本屋から取り寄せてもらいました。それが今年の二月で、そのときであと二冊在庫があるとのことでした。
一般教養を養う本はダンボール箱から出して調べてみます。しばし、お時間を・・・・。
寄筆一元さんは玄和会員なのですね、おそらくは
突然の質問で申し訳ないのですが、中岡孝『社会科学読本 自然・人間・社会』(牧書房)を読んでみたいのですが、ネットではどうも手に入る様子がありません。やはり実際にいろいろな古本屋に足しげく通わなければ手に入れる事は難しいのでしょうか?
何か手に入れるコツのようなものがあれば教えて頂けないでしょうか?
よろしくお願いいたします。
『自然・人間・社会』を「手に入れる」のでしたら、古本屋に「足しげく通」うのではなく、ネット上の古本屋サイトで、毎日「中岡孝」と著者名を検索することをお薦めします。私はそうやって入手しました。
ただ、「読んでみたい」のであれば、入手する必要はありません。私は学生時代に、私の通っていた大学の図書館に頼んで、他大学の図書館から取り寄せてもらいました。私の通っていた大学の図書館にはなかったからです。『自然・人間・社会』を所蔵している大学図書館は以下です。
http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=BN12033782
あと、裏技的ですが、実は知人に『自然・人間・社会』の本文をパソコンに打ち込んだ方がいらっしゃいます。著作者の中岡孝氏の死後50年を経過しているなら、著作権の保護期間が切れていますので、その方が青空文庫にデータを提供してくだされば、万人が自由に読めるようになるはずです。また、その方に個人的にデータを送っていただくことも、法的に問題ないはずです。
ただ、中岡孝という人物が何者か、おそらくもう亡くなっているとは思いますが、死後どれくらい経つのか、全く不明ですので、この手は使えないかもしれません。
やはり、大学図書館を頼るのが一番かもしれませんね。
丁寧な説明ありがとうございました。
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