2013年01月18日

『三浦つとむ 意志論集 ――20世紀マルクス主義が欠落させたもの――』

 横須賀壽子さまより,『三浦つとむ 意志論集』(績文社)を贈っていただいた。かねてから予告されていた津田道夫編集・解説の新刊である。この時期に出版されたことは,私にとってなんらかの意味があるものと受け取って,しっかりと学んでいきたい。

 私にとって初見の論文が多数収録されているものと期待していたが,10論文のうち,初見は一つだけであった。それは,『試行』に掲載された「上部構造とはなにか」という論文である。他の9つは,すでに私が持っている著作に収められている。

 とはいえ,この時期に三浦つとむの意志に関する論文集が発刊された意味は大きい。意思は言うまでもなく,認識論の体系化を志す私にとっては,非常に重要なテーマである。さらに,心理臨床の仕事にとっても,意志の重要性は大きい。いわゆる「動機づけ」といって,クライエントが心理面接にどのくらい「やる気」をもって取り組んでくれるか,ということが,治療効果にも大きな影響を与えるからである。意志とは何かをふまえた上で,しっかりと相手の意志を評価し,相手の意志を育てていく働きかけが,心理臨床の実践においては不可欠なのである。

 三浦つとむの主著たる『認識と言語の理論』とともに,本書にしっかりと学び,人類の文化遺産をしっかりと修得したうえで,新たな知見を一つでも二つでもつけ加えたいと思う。
posted by 寄筆一元 at 22:22| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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