2007年06月20日

スカイプ

最近、スカイプをはじめた。無料のインターネット電話である。インターネットに接続できる環境にあれば、あとはマイクとイヤホンのみで、無料で、世界中のスカイプユーザーに電話ができるのである。カメラがあれば、テレビ電話にもなる。また、チャット機能や、同時に複数の人と会話できる機能などもある。

英語学習のために、英語を話す知らない人と会話することも可能である。私の場合は主に、普段メールでやりとりしている知人と会話するために使っている。スカイプを使えば、メールでやりとりするより、数倍効率がよい。もちろん、二人の時間を調整しなければならないというようなデメリットもあるが。

僕はスカイプ用にヘッドセットを買った。



耳にかけるタイプで、長時間つけていてもそれほど問題はない。相手の声も、普通の電話以上にクリアーに聞こえるし、マイクも雑音をカットする機能までついている。手元で音量調節と、マイクのオン−オフの切り替えができる。もっと安いのであれば、1000円くらいで買える。

まだ使っておられない方は、是非どうぞ。
posted by 寄筆一元 at 16:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年06月08日

細野真宏『経済のニュースがよくわかる本』(小学館)



数学を教える予備校講師の書いた経済の本。「日本経済編」「世界経済編」「銀行・郵貯・生命保険編」の三つがあるが、今回は初めの二つを読んだ。「そりゃ、売れるわ」というのが第一印象。

実はこの著者の本は、この二冊以前に『世界一わかりやすい株の本』(文藝春秋)を読んでいた。この株の本は、確かに分かりやすいものの、非常に薄っぺらで、あまり得るものがなかった。1000円を返せと言いたい。正直、株の本なら、もっといい入門書がある。それだけに、この『経済のニュースがよくわかる本』もそれほど期待はしていなかった。

しかし、友人の薦めもあって今回読んでみると、いい意味で大きく期待を裏切られた。まず、株の本と違って内容がそこそこ深い。特に「世界経済編」は、戦後の国際通貨体制から始まって、ヘッジファンドがデリバティブを使っていかにポンド危機・アジア通貨危機を起こしたか、ロシア危機ではいかなる誤算があったのか、などが説かれていて、初めて知ったことも多かった。

中でも興味深かったのは、ロシア危機のところで説かれていたブラック・ショールズの方程式である。これは、デリバティブの一つであるオプション取引の価格を求めるための式である。フィッシャー・ブラックとマイロン・ショールズの二人によって創られ、ロバート・マートンによって「数学的に正しい式」だと証明された。ガンで死亡したフィッシャー・ブラックを除いた二人は、この功績でノーベル経済学賞を受賞している。この式によってオプション取引が大きく普及したのみならず、デリバティブに関する研究も飛躍的に発展したらしい。

この式の何が興味深いかというと、実はこの式は「正規分布に従う」という前提のもとでつくられているのだ。この前提のもと、ロシア危機後に起こった「パニック状態」が起こる確率を求めると、「1兆年に1度も起こらない」ということになってしまうという。今統計を勉強している最中なので、後々、この式のどこに不備があったのかを論理的に説けるようになりたいものだ。一つ、宿題ができた。

さて、この細野本の最大の特徴は、なんといってもその分かりやすさにある。円高・円安や日銀の仕事といった経済の非常に初歩的なところから、今触れた国際通貨体制やデリバティブといった内容までを、非常に分かりやすく、それこそ小学生にも理解できるように説いてある。これはなかなかできないことである。おそらく出来の悪い受験生を指導する中で、誰にでも分かりやすく説明する術を実力と化していったのであろう。

なぜ分かりやすいのか? それは、本書がクマ(?)のコロちゃんとの対話編になっているからである、ということもいえなくもないが、最大の理由は別にある。それは、いたるところに「例えば」といって具体例が登場するからである。しかもその具体例がシンプルで、またマンガを効果的に使っているため、否が応でも理解させられてしまうのである。

論理的にいえば、表象の使い方がうまいのである。表象というのは、抽象的認識と具体的認識を媒介する過渡的な段階である。だから表象を駆使して説かれると、認識ののぼりおりがしやすくなり、「分かった!」となるのである。

また、論理に飛躍がない。「日本の景気が悪い時には、円安に進む(可能性が高い)」といわれれば、「まあ、そうだろう」とか普通思ってしまうが、なぜそうなるのかということを、これでもかというくらい詳しく、具体的に説明するのである。これは大学の先生にはできがたいことであろう。こういったことは、単に本を読んで抽象的に理解しているだけでは決してできないことである。真に経済という対象を理解している、もう少していねいにいえば、具体的な経済現象から、自分自身で抽象化の道を一度辿っている、といえるのではないか。

もちろん、経済学を体系的に説いているというようなことは全くないが、対象を理解しているのであれば、最低限、この程度のわかりやすさで説けるはずだといういいお手本になるような気がする。

本書は、高校生くらいが経済の初歩的な知識を吸収するのに非常によい教科書になると思う。「日本経済編」で獲得した知識(=基礎)を、「世界経済編」で応用して知恵(=使える知識)に変えようと意図されているので、この順番で読むのがいいだろう。大学生や社会人にとっては、「日本経済編」で説かれているバブル経済や、その崩壊、不良債権問題など、「何を今さら」という感じがするであろうが、先述した通り、解説法の勉強をするのだと思って、こちらから読んでもらいたいものだ。案外、自分の理解が曖昧であったことが判明したりするかもしれない。

引き続いて「銀行・郵貯・生命保険編」も読んでみようと思う。さらに「世界経済編」で予告されていた「日本の財政問題とアメリカ・ヨーロッパ・中国経済編」も出たら読んでみたい。
posted by 寄筆一元 at 01:17| Comment(0) | TrackBack(1) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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