滝村読書会 『増補 マルクス主義国家論』 2006年2月24日
「国家論における共同体論の復権」
(1)共同体と国家の問題
<国家>把握の二つの原理的=方法的発想
@<狭義の国家>→<共同体―内―国家>という原理的=方法的発想
A<広義の国家>→<共同体―即―国家>という原理的=方法的発想
国家<生成>の問題…@Aを歴史的・論理的に区別して統一的に解明しなければならない
(2)原始的・アジア的共同体と国家
<原始的>共同体
内部的には、氏族的=血縁的に構成
他<種族>との直接的接触により敵対関係が顕在化→<共同体―即―国家>として現出
<アジア的>共同体
内的構成としては、ほぼ純粋の血縁的=氏族制的に構成された<原始的>共同体
<デスポット>との関係においては全ての構成員が<奴隷>(総体的奴隷制)
支配共同体が被征服<共同体>に対しては<国家>として対峙・君臨
(3)古代国家の根本問題
<古代国家>:微弱ながら<共同体―内―国家>が原理的・構造的に確立
最大かつ最強の<都市共同体>が支配的共同体として君臨→奴隷制
(4)国家の生成とは何か
<共同体―即―国家>生成→<共同体―内―国家>生成
↑基礎づけ
<共同体―間―社会分業>→<共同体―内―社会分業>
<個別歴史>―<世界史>的な構造論―<唯物史観>というレヴェルの違いを混同するな
(5)国家の提起する現代的課題
<広義の国家>:@<国家>の内的な<実存>形態としての<政治的社会構成>
A<国家>の外的な<実存>形態としての<共同体―即―国家>
<ナショナリズム>も<帝国主義>もAの問題
(6)国家の死滅と革命戦略
<共同体―内―国家>死滅→<共同体―即―国家>死滅
‖
<共同体―内―社会分業>止揚→<共同体―間―社会分業>止揚
<一国社会主義革命> →<世界革命>
(7)<政治>・<国家>とは何か
政治=特殊性の幻想的「一般」形態支配、ないし特殊性の幻想的「共同」形態支配。
当該Machtの特殊利害が幻想上の「一般」利害ないし「共同」利害として
形成されて君臨・支配するに到る過程。
国家=<政治的支配>。<政治>の<実存>形態。
支配階級の特殊利害が、様々に媒介されて、何よりも社会の
<法的秩序>維持という普遍的な形式とともに、内容的に貫徹される。
「現代世界と国家の原理」
(1)共同体と国家の原理
@狭義の国家→<共同体―内―国家>→a. Staatsmachat
<国家> =国家権力 b. Staatsgewalt
A広義の国家→内的<政治的社会構成> →主としてStaat
=国家 外的<共同体―即―国家>→主としてNationalität
(2)資本主義の世界性と国民性
「世界経済」は「国民経済」間の世界的連関においてしか<実存>しえない
<経済的社会構成>を<共同体―即―国家>レヴェルから把握
資本の<世界性>は、資本の<国民性>を前提とし、それによって媒介されている
(3)世界革命と一国革命
<世界革命>の原理が貫徹されていることのメルクマール
=<原則綱領>において<一国社会革命>綱領を<世界社会革命>綱領との関連で、
理論上正当に位置付けているか
<共同体(民族)―内―社会革命>といっても、ここでいう<民族>とは、現在確定されている<国境>によって囲い込まれた「民族」を、そのまま意味するものではない
(4)「アジア革命」論の陥穽
・日本帝国主義復活論が暗黙の前提←<帝国主義>を経済主義的にのみ理解
・<共同体―即―国家>としての解体が前提であることを理解できていない
・政治的な危険性(<超国家主義>にからめとられかねない危険性)が内蔵されている
補・ナショナリズムと国家の問題
ナショナリズム:<共同体―即―国家>の問題
<共同体―間―共同体>ないし<世界―内―共同体>レヴェルでの問題
・自己の生活共同体を基点にして観念的=幻想的に想定された「民族」=「国家」を、
他の民族・国家に比すれば唯一至上の実在として考える<民族―即―国家>意識
・<共同体>としての自己が、何よりも他民族共同体との直接的・間接的な関係を媒介と
して、観念的に対象化され、<民族エゴイズム>として排他的に押し出される