『蒼天航路』の35巻と36巻が同時に発売された。これで完結である。早速購入して読んだ。知人がブログで紹介していたのをきっかけに、面白そうだと思って第1巻から全部購入していたマンガである。
『蒼天航路』の舞台は中国の三国時代。僕は、小学生か中学生の頃、近所の友達に、横山光輝の『三国志』を借りて全巻読んだ記憶がある。その後、PCエンジン(懐かしい!)で、横山版三国志をゲーム化したソフトが登場し、結構楽しんだものだ。その後は、PSでコーエーの三国志Xを買って、遊んだこともある。パソコンゲームでも、同じくコーエーの三国志Zも持っている、あまりやっていないが。
以上のような「三国志」は、たいてい『三国志演義』を元にして作ったものである。『三国志演義』は、明代に羅貫中が書いた小説である。蜀を正統と定め、劉備その配下の者を中心に描いている。蜀に対立する曹操は、奸雄として描かれている。
これに対して『蒼天航路』は、同じ三国志でも、陳寿の書いた正史『三国志』を元にしている。ここでは三国の中で魏を正統の王朝として扱っている。いわば、曹操が主人公である。その通りに、『蒼天航路』でも曹操の活躍が中心に描かれている。曹操の中国文化に及ぼした影響などがよく伝わってくる。かなり壮大なスケールの作品である。
『蒼天航路』を読むと、いろいろな意味で、この三国時代が、中国にとって大きな結節点であったことがよく分かる。『三国志演義』の世界に慣れている者にとっては、多少の違和感がある世界であるが、三国時代の英雄の新しい人物像や、時代に対する新しい解釈を見出すことができ、それがまた楽しみの一つにもなる。
また読み返して、壮大なスケールを再び味わいたいと思っている。