海保氏は、南郷継正氏の学問上の弟子の第一号であるとともに、南郷氏の業績に大きく寄与したという偉大なる理論的実践家である。南郷氏は今回の論文で、海保氏のことを次のように紹介している。
「海保静子は、私が海保に学問を教えているのか、私が海保に実力をつけてもらっているのかわからないほどの学問的実力を積んで、海保の専門であった認識論の分野では、世界トップといってよいほどの理論的実践家に育ったのでした。」
その一番弟子の突然の死に直面した南郷氏の無念さは想像するにあまりあるが、僕のように直接の面識はないものの、『育児の認識学』のすばらしさに感動して、次の論文・著作を楽しみにしていたはずの読者にとっても、残念で仕方がないことだ。謹んでご冥福をお祈りしたい。
さて、今回読んだ論文は以下。
瀬江千史「脳の話(18)」
神庭純子「初学者のための『看護覚え書』(6)」
瀬江千史・本田克也他「医学概論教育 講座(10)」
南郷継正「なんごうつぐまさが説く看護学科・心理学科学生への“夢”講義(27)」
「脳の話」では、個体発生と系統発生のつながりが説かれており、何となくわかってきたような気がする。